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日航機と海保機の衝突事故について。

まぁさ、あまり言うべきことじゃないのかも知れんけど、一応Safety managementの専門家なので、備忘録的に記しておく。

 

現時点で公開されているATCアーカイブ国交省からの公表資料を読み解いて思ったこととして・・・

 

・気象は航空機の離発着に何ら支障を来すことはない好条件であった

日航機(JAL516)、海保機(JA722A)共に機体のトラブルはなかったっぽい

・当時、管制は北からの進入機をR/W34Rへ、南からの進入機をR/W34Lへ誘導しており、それ自体は通常のオペレーションであり問題はない

・加えて、離陸機はR/W34RとR/W5に分けて捌いていたが、これもまた通常のオペレーションであり問題はない

日航機(JAL516)のクルーは通常の手順で東京TWRと交信し着陸動作に入っており、R/W34Rへの「Cleared to Land」の許可を受けて復唱を済ませている

・海保機(JA722A)のクルーはR/W34R手前のC5で「Hold short of Runway」の指示を受けて復唱を済ませている

日航機(JAL516)の後続機であるJAL166に対して、東京TWRから「Number 2 On 34R We Have a Departure Reduce Speed 160」と指示が出ていることから、管制としてはJAL516の着陸後にC5からJA722Aをインターセクションで離陸させ、その後にJAL166を下ろすと言う意図が読み取れる

日航機(JAL516)のクルーは夜間着陸に向け、HUDを注視し機首をR/Wのセンターに合わせることに集中していたことに加え、多くの多重タスクを同時処理していたと推測されるため、R/W34Rを視点を全く逃さず見渡し、その上で他機を視認するのは困難である

・仮に日航機(JAL516)が海保機(JA722A)を視認出来ていたとして、そのポイントが重要で、そのポイントによっては着陸復行は現実的ではない

・海保機(JA722A)は管制からの指示はともかく、R/W34Rに進入した後に後方を確認することは無理

 

と言ったところだろうか。

 

客観的に見ると海保機(JA722A)のR/W34Rへの誤進入が主要因に思えるが、果たしてそれだけだろうか。

管制の地上モニタリングはどうだったのか、本当に日航機(JAL516)は着陸復行は不可能だったのか等、まだまだ明らかになっていないことも多い。

 

日本のメディアはどうも主犯人を探し、晒し者にすることに粘着しているが、それで得られるものは何もない。

極めて敬意に欠けるメディアの姿勢は端的に言って、恣意的に映って本当に気持ち悪い。

海保機がこなしているミッションの内容、彼らのアイデンディティに触れ、深い敬意を示すべきだ。

また、JAL516のクルーがクラッシュの後、極めて冷静に応対したことが、どれだけ称賛に値する仕事だったか、あまりにも評価が少な過ぎる。

 

現時点では詳細が判明していないので何とも言えないが、羽田のような慢性的に混雑している大空港では離陸用と着陸用のR/Wを明確に分ける等、根本的にオペレーションを変える必要があると思う。

 

最後に、海保の勇敢なクルーに対して、心から哀悼の念を表したいと思う。